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日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は15日、ワールドワイドで進めているIoTへの取り組みとともに、7月1日付けで日本IBMに新設したIoT事業専門チームなど、国内でのIoTへの取り組みを紹介する説明会を開催した。
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IBMではIoTをAnalytics事業の一つに位置づけ、「ビッグデータ、アナリティクス、そしてIoTなどを支えるミドルウェアを提供するのが、2015年年初のソフトウェア事業再編で誕生した、IBM Analytics事業部。当事業部がハードウェア事業部門、サービス事業部門と連携し、お客さまに最適なソリューションを提供する」(日本IBM 理事 IBMアナリティクス事業部長の三浦美穂氏)という方針で、製品提供を行っている。
IoTに関しては現段階では研究が必要な部分も多いことから、IBM Tokyo Lab.がリーダーシップを取って、“つながるクルマ”などの開発を行っている。
その一方で、7月1日に新設されたIoT事業推進室は、2015年度は製造業に注力し、経営にプラスとなるソリューション開発を行う。将来に向けたソリューション開発、実ビジネスにプラスとなるソリューション開発の両方を並行して進めていく。
■ IoTはビジネスを変革する
日本IBMでは7月15日にプライベートイベント「IBM IoT and Industry Analytics Summit 2015」を開催。米IBMでIoT事業を担当するゼネラル・マネージャーのパット・ツール氏が来日し、IBMがワールドワイドで取り組んでいるIoTへの取り組みを紹介した。
ツール氏は、従来のIT活用が企業の効率化、節約といった目的で活用されたのに対し、「IoTはこれまでにはなかった新しいビジネスモデルを実現する。ビジネスを変革するのがIoT」と説明する。
これまでは実現できなかったリアルタイムなデータ処理によって、新しいチャネル、リアルタイム洞察などデジタルイノベーションが進むことでビジネスが再構築されていくという。そして、これを実現するためのIoTの基本として、(1)業界に特化した変革、(2)アプリケーションとソリューション、(3)プラットフォーム、(4)デバイスとネットワークの4つの要素があるとした。
実際にIoTに取り組む例として、独Daimler-Benz AGが進めるカーシェアリングサービス「Car2Go」、仏Airbusが行っている航空機の6000以上の部品管理、レースボートチームSilverHookが2週間で実現した、ボートとパイロットにセンサーをつけることによるパフォーマンス改善などを紹介した。
また、IoTにとって欠かせない要素となるセキュリティ対策として、Texas Instrumentsとの提携を実現している。
IoTの将来に向けた研究にあたっては、「日本はこの分野のリーダーとなる可能性がある」(ツール氏)との観点から、IBM Tokyo Lab.でIoT研究開発を推進する。
IBM Tokyo Lab.では、Smarter Planet、コグニティブ・コンピューティング、アナリティクス、クラウド&SWプラットフォーム、システムテクノロジーを主な活動領域としている。
「今回、パット(ツール氏)のところから新しい重要なミッションを担うこととなった。パットは、以前日本で半導体製造のスケジューリングシステムを開発していた経験があると話していたが、まさに日本は半導体製造装置メーカーが多く、これらをIoTで水平統合することで生産性アップと、エコシステム構築が実現する。こうした開発活動とともに、将来のIoT領域として『つながるクルマ』の開発をリードすることとなった。自動運転になると、ミリ秒単位のデータが必要になるが、Smarter Planetで進めてきたSmarter Cityの研究が活用できる。車同士がつながる、ドライバーが身につけているデバイスと車がつながる、交通システムと車がつながるといった開発をリードする役割を担っていく」(日本IBM 執行役員研究開発担当の久世和資氏)。
IoTの研究拠点としては、日本以外にも中国、インド、韓国、ドイツ、ブラジル、米国などがあり、IBM Global IoT Competency Centerとして、IoT製品、ソリューションの開発を進めていく。
こうした研究の取り組みとともに、日本でIoT事業を進めるために、「IoT事業開発推進室」が日本IBM内に新設され、15日から活動を始めたわけだ。
推進室には専任コンサルタント、ビッグデータや情報管理関連のソフトウェア技術者、研究開発部門の専門家、営業担当者などが所属。IoTを活用する業種として製造業、ヘルスケア、流通、保険などがあるが、初年度は製造業向けサービスに注力する。
日本IBM IoT事業推進室長の村澤賢一氏は、製造業向け事業について次のように説明する。
「日本のお客さまに向け、日本以外の地域での活動から得た知見を含め、経営の課題解決につながるソリューションの開発、提案を行っていく。日本の製造業のお客さまは、高品質、高効率化を実現するさまざまな活動を行っている。その一方で、日本の人口動態から先行きが暗いといった課題を抱える。これまでの強みと、将来に向けた課題解決に取り組むための予兆検知を現段階から手を打っていくことで、将来の手間を軽減するケースも出てくるのではないか」。
なお、日本で誕生した先進的なソリューションについては、グローバルに展開することも想定しているとのことだ。
【クラウド Watch,三浦 優子】
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